入門から各テクニックの習得まで

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8. Insert

テクニックと言うほどでもありませんが、FMCでは大きく2つ存在します。

1手インサート
各種テクニックの意義でも紹介しましたが、説明はそちらでほぼ全てになります。
せっかくなので例を2つほど挙げておきます。

Scramble: B2 D' F' U R U' D R2 D' B' U R2 F U' B R B U' F2 L2 U' F2 L2 U B2 D F' U R
(tribox Contest 2016 後半期 第15節(Inverse) + Premove: B2 D' )

既にPremoveを使っているので比較的ブロックは作りやすいです。 U' B2 とすれば2手で2x2x2を作ることが出来ます。 しかし、あえて最初にLを挟み、L U' B2 とするとどうでしょう。 1手増えましたが橙黄緑のペアが保存され、青黄赤のペアが新たに出来ました! 結果的にさらにF' で追加の1x2x2ブロックを作って拡張し、余分な1手以上の見返りがありました。

Scramble: L2 F' U R U' F B' R B2 D2 B' U2 D' L F R2 B2 U' F2 U2 D' L2 U' D F' U R
(tribox Contest 2016 後半期 第13節(Inverse) + Premove: L2)

緑橙白のペアに注目して例えば D2 F D F で2x2x2ブロックを作れますが、直前のFの手前でR面の1手インサートを考えてみました。 結果的にRを挟み D2 F D R F とすると、その後 B R2 B' R2 D' でなんと一気にF2L-1まで進みました!

このように使える機会はたくさんありますが、全てを試すのは時間的に厳しいのと単純にインサート分手数は増えるので経験による見極めが大切になります。

コミュテータのインサート
こちらがメインです。 FMCではブロックビルディングでF2L-1にした後F2L#4, OLL, PLLを回すのではなく、数パーツは無理に揃えなくてもいい”ほとんど完成した状態”(コーナー3点を残すのが一番簡単にインサートできる)を目指せばいいことはわかりました。 そして例えば3CPに8手のピュアコミュテータを適用できることも説明しました。
ところで、Commutatorの項で挙げた例をもう一度出します。

Scramble: R' U' F U2 B2 D F2 L2 U2 F2 D2 L D2 F' D U' F D' B' F' L2 U2 R' U' F
tribox Contest 2016 後半期 第12節)(再掲)

これに対してのコーナー3点交換を残した解(スケルトンといいます)が次のようになりました。

Skeleton: F2 L B' U R2 U2 F R2 U R F R' U L F L' F' L F L' F' U' F' D2

実は、コミュテータは目標のパーツのみを交換させる手順なのでスケルトン中のどこに挟んでも成立します

一度スケルトン後に目標の3パーツに目印となるステッカーや付箋を貼ってみてください。 3点のうち1つの面にステッカーを貼った後はそのパーツのその面の行先に次のステッカーを貼るようにしてください。 またサイクルの向きも把握するためにステッカーに1,2,3と書き込んだり色で見分けられるようにしておく必要があります。 そして一旦揃え、再びスクランブルしてスケルトンを回してみると、1回転ごとに3点の位置関係が変わり、コミュテータ手順も常に変わり続けますが、どこでもいいのでどこかでその3点を交換すればスケルトン後に完成していることがわかると思います。 つまり今回は24手でスケルトンを作れたので、25か所でコミュテータ手順をインサートすることが出来るのです。 この内ピュアコミュテータを作れるタイミングでインサートすればスケルトン+8手で完成させられ、さらに場所によってはインサート手順の最初or最後と隣接するスケルトンの一部でキャンセルする可能性があります!(ピュアコミュテータすらインサートできないスケルトンは確率的にまず出てこないです。)

例えばこの場合だと、3手目のB'の後に R' D' R U R' D R U' という手順 (P: R' D' R, Q: U, UFR→URB→RFD)をインサート出来ますが、この場合最終解は

Final Solution: F2 L B' R' D' R U R' D (R U' U R2) U2 F R2 U R F R' U L F L' F' L F L' F' U' F' D2

となるので()の部分がR'になり8手インサートから3手キャンセルされたことになります! ちなみにスケルトン4手目のUの後に U' R' D' R U R’ D R という手順をインサートしても結果的に同じ解になります。 少し難しいですが、2手以上のキャンセルのみを探す場合はスケルトンを2手ずつ追えば全てチェックできます(インサートの高速化参照)。 このように、スケルトンを見つけた後はその交換したいパーツにステッカーなどで目印を付け、もう一度最初から1手ずつスケルトンを進めていき、キャンセルが一番多くなる場所にインサートして最終的な解を作ります


実践ではこのインサート作業に時間をかける分、スケルトンを探す時間が減ってしまいます。 最初はインサートの最適解(最大キャンセル)を探すのにかなり時間がかかって制限1時間で解を作るのは難しいですが、慣れれば3CPだと5分程度で最適解を見つけられるようになるのでこれも練習あるのみです。 ちなみに、キャンセルできる手数としては0~6手ほど、体感では平均2手ぐらいだと思います(FMCにおける各種期待値参照)。 まずは時間制限をつけず、がんばってみてください。 見落としがちな注意点ですが、スケルトン中で …U D’… など連続して対面を回す場合、その記号を入れ替えてもスケルトンには影響ありませんが、コミュテータの手順やキャンセルに影響する場合があるので意識しておきましょう。
また複数のピュアコミュテータ手順がある場合は適用させるものでキャンセルする手数が変わってくるので漏れなく調べる必要があります。


毎度のことですがTRCC様の解説もあります。
あとコミュテータのインサートに関して最適解を求めてくれるツールがあるので紹介しておきます。 Insertion Finderといって、スクランブルとスケルトンを入力してポチポチ押せば1秒でインサートしてくれます。 実践的に練習した後の復習として役に立つと思います。
最後にこちらも短いですが筆者による動画の解説もありますのでそちらも参考にしてください。



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