入門から各テクニックの習得まで

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6. NISS

次はあらゆる分岐を倍増させるNISSの解説です。 こちらもPremoveと似ていてスクランブルを都合よく変えてしまうテクニックです。 まずは理屈を理解していただくために少し寄り道します。 完成状態から次のスクランブルをしてみてください。

Scramble: R U' R U R U R U' R' U' R2

スクランブルといってもただのU-permでエッジ3つが交換されるだけなので、他のパーツは全く動きません。 ではこれを反対向きにスクランブルするとどうでしょう。

Scramble: R2 U R U R' U' R' U' R' U R'

もちろんこれもU-permです。 しかしここで注目してほしいのは、大部分のパーツはやはり固定されたままであるのに対して3つのエッジはループが逆になり、パターンとしてさっきと異なっているという点です。 それでは実際に、FMCとして次のスクランブルを回してみてください。

Scramble: R' U' F U' F2 U2 L2 U' R2 U2 L2 F2 R2 U2 F' L F2 U B2 F2 L2 B' R U' R' U' F
tribox Contest 2016 後半期 第1節より)

まず2x2x2ブロックを目指しますが、橙緑と橙白が橙クロス的にいい位置にあることから B D’ R U の4手2x2x2を見つけることができました。 そしてこの後なかなか繋げることができず、NISSを使うことになります。

まずスクランブルとこの4手を合わせたものを1つの手順とみるとどうでしょう(右図)。 結果的にULFの2x2x2ブロックは全く動かず、その他のパーツが何かしらの規則にしたがって移動したことになります。 ではこの手順を全く逆に回すとどうでしょう。 先のU-permの例から考えるに、ULFのブロックは保存されてその他のパーツが逆向きに移動し、全く違った見え方になると思いませんか・・・? 逆向きの手順がこちらです。 手元にキューブがもう1つある人はそちらで回してみてください。

Scramble: U' R' D B' + F' U R U R' B L2 F2 B2 U' F2 L' F U2 R2 F2 L2 U2 R2 U L2 U2 F2 U F' U R

なんということでしょう!見比べてみると確かにULFの2x2x2ブロック以外は全然違っていますね! このように元々動かなかったパーツはそのままに、ペアは別な色で別な場所に現れるのです。 エッジコーナーそれぞれのループが逆になっただけですが、FMC的には完全に分岐が倍になったと言っても過言ではないでしょう。 あとは普通にブロックビルディングを進めていけばいいのです。


「いや全然違う形になったのはいいけどそれで解いてもそもそもスクランブルが違うしどうするの」
待ってました。 ここからはPremoveの応用になります。キューブを実際回しながら読み進めていくとわかりやすいかもしれません。

まず、R U B というスクランブルと B' U' R' というその解を考えます。
例えばスクランブルの前にDを入れるとどうなるでしょうか? 全体としてDずれたまま崩され揃うことになるので解としては最後にそれを戻すD'が必要になり、B' U' R' D' で完成します。
では例えばスクランブル最初のRを取り除くとどうなるでしょうか? 今度は最後にR足りなくなるため、B' U' R' R = B' U' が正しい解になります。
以上より、スクランブルの1文字目を取り除けばそのまま解に付け足すことでまた成り立つことがわかりました(逆もまた然り)。 このようにスクランブルと解は密接に結びついているのですが、極論を言うと同じであり、逆転させることも可能なのです!
例えば R U' R U R U R U' R' U' R2 というスクランブルに M2 U' M U2 M' U' M2 という解があったとします(自明にU-permです)。 これをすべて逆再生してみるとどうなるでしょうか? M2 U M U2 M' U M2 という逆向きの解に R2 U R U R' U' R' U' R' U R' という逆向きのスクランブルが付くことになり、当然成り立ちます。
このことから、逆向きのスクランブルであっても解とセットであれば通常方向のスクランブルに変換できることがわかりました!


長くなりましたがついにNISS導入のまとめです。

Scramble: R' U' F U' F2 U2 L2 U' R2 U2 L2 F2 R2 U2 F' L F2 U B2 F2 L2 B' R U' R' U' F(再掲)

先の例で、スクランブル+ B D' R Uというところまで考えました。 ここから全てを逆向きにして考えます。

Scramble: U' R' D B' + インバーススクランブル(と呼びます)

この続きの解としてA B Cという回転が必要であったと仮定します。 すると後は機械的に記号を入れ替えるだけで本来の解が導き出せるんですね!
まず解としての A B C ですが、これは逆向きに解いている時の回転記号なので、通常方向で見ると C' B' A' となるのはわかるでしょうか。 つまり、現段階でこの一連の回転をすべてひっくり返す(元通りの向きにする)と、C' B' A' + ノーマルスクランブル(と呼びます)に対して B D' R U という解があることになりました! そこでこの疑似スクランブルからC’ B’ A’ を除けば本来のスクランブルになり、解としては最後に C' B' A' を付け加えて B D' R U + C' B' A' が求めたい真の姿になります! 形式的には、逆向き(紙面でいうスクランブルより左側)で A B C という回転があった場合、それを戻す(スクランブルより右側に持っていく)にはその反対 C' B' A' を最後(右端)に付け加えればいいことがわかりました。 もちろんその逆もまた然りです。


説明が長くなりましたが、最後に同じ例で最後まで解いてみましょう。

Normal-scramble: R' U' F U' F2 U2 L2 U' R2 U2 L2 F2 R2 U2 F' L F2 U B2 F2 L2 B' R U' R' U' F(再掲)
Inverse-scramble: F' U R U R' B L2 F2 B2 U' F2 L' F U2 R2 F2 L2 U2 R2 U L2 U2 F2 U F' U R

まずノーマルスクランブルから B D' R U で2x2x2ブロックができました。 ここから逆向きで

Scramble : U' R' D B' + インバーススクランブル

ここでD' R2 D R2 とすると青面に青の1x2x2ブロックと赤面に赤の1x1x2ブロックができます。 これを保存しつつ分岐を広げるために、さらにスイッチします。

Scramble: R2 D' R2 R + ノーマルスクランブル + B D' R U

直前のブロックがしっかり保存されているのがわかるでしょうか。 ここで R D2 F' R F とすると疑似F2L-1が完成します。 さらに D' B2 L B L' でF2Lまで完了します。 ここから上手く繋がらなかったため、再びスイッチします。

Scramble: L B' L' B2 D F' R' F D2 R' + U' R' D B' + インバーススクランブル + D' R2 D R2

もちろんF2Lが完了し違ったLLになります。 すると B' L' D' L D B の6手OLLから F2 D' L' R F2 L R' D' F2 のU-permで効率良く揃えることができました!

後はあちこちに散らばっている解を整理して完成です。 ノーマル方向には B D' R U + R D2 F' R F D' B2 L B L' の解が残り、インバース方向には D' R2 D R2 + B' L' D' L D B F2 D' L' R F2 L R' D' F2 という解が残りました。 これらを全てノーマル方向でまとめたいので、インバース方向の解をすべて逆向きにしてノーマル方向の解にくっつけます。
Final Solution: B D' R U + R D2 F' R F D' B2 L B L' + F2 D R L' F2 R' L D F2 B' D' L' D L B + R2 D' R2 D
これが正しい解であることはノーマルスクランブルから回してみれば確認できると思います!


この例ではかなり多用しましたが、異なる色のブロックを作りたい、異なるF2L#4や異なるLLを作りたいという時に有効活用できます。 もちろん2x2x2ブロックがうまく見つからない時には最初からインバーススクランブルで探すといいのが見つかるということもよくあります。 使いこなせるととても便利なテクニックですが、慣れるまではかなり時間がかかったり記号を逆転させるところでよくミスが出たりすると思います。 回数をこなすだけでミスも減り時間も短縮できるようになるので、たくさん練習してみてください!
こちらも解説動画を上げております。


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